サドルの上にも早20年・・・少しはものも考えた

MJ山内氏の「トレーニングエッセイ」に“インスパイア”された。決して真似たわけではない。^^;

M.CCdo@Team HOSHI 

 昔々,一人の男が,いわゆる,スポーツサイクリングの世界に迷い込んだ。
思い込みで朝練を続けた時期やら誤解と勘違いに振り回された時期があった。
そして20年が経過し,サドルの上で少しはものを考えるようになった。
まだまだ,誤解,勘違い,妄想かも知れないが,面白いから書きつけておこう。

Latest update : Mon, Jul 30, 2007

その1:廻すペダリングって眉唾では? その2:筋損傷の原因と踏み抜けるペダリングの関係 その3:最近,登りが調子いい(当社比)んだけど その4:引き脚の意味 その5:筋疲労
その6:再び「(踏み)抜けるペダル」の意味 その7:サドルってトップチューブに対して真っすぐなのが正しいの? その8:登りでの出力を計算してみよう その9:太股が太くなったよ その10:スノーシューと自転車との関係
その11:あれ?常用スピードが上がった?!

その1:廻すペダリングって眉唾では?

 人間エンジンの出力を如何に有効に運動エネルギーと位置エネルギーに変換するかという,究極とも言える自転車乗りの大命題に関して(そんな大層な話でもないか),クランクとペダリングとの関係をまとまらないままに考察してみた結果をアップしたわけだが,その後,またいろいろと考えるところがあった(暇なんだろうか?)。ここで,「ペダルを介して脚力をクランクに伝達する」という最も基本的な部分について考えてみたい。

 ここで最近ご贔屓の MJ 山内氏が,キャファ通信 (Vol. 2059) に投稿された文章を引用してみる。

########## ペダルは本当に回すもの? ##########

ちょっと乱暴かもしれませんが,ペダリングの基本と云われることに疑問を投げかけたいと思います。

どの自転車関係の書物にもペダルは「踏む」のではなく「回す」ということが強調されています。今までそういうものなんだろうなと思っていました。しかし最近大いに疑問が湧いてきました。

そもそもクランクとはなにか。それは水平運動を回転運動にあるいはその逆に変換する装置です。力学的に考えてみても,クランクはただ上下に踏めばよいはず。踏むのではなく回すというのが効率の良いペダリングだとすれば,出力を上げる必要のある時こそペダルを回すのがよいはず。

ところが一般的に高出力を求めれば求めるほど足は直線的に踏み込もうとし,上下運動に近いものになります。つまり本来の「クランク装置」の動きになるわけです。

ペダルは踏んでも回してもクランクは回転します。「接線方向に踏む」という表現もよく見ますが,上死点から前向きのイニシャル・ベクトルを作るという意味以外に重要な意味があるとは思えません。上死点から真下に踏み込んだのでは理論上はクランクは動きませんから。

上死点でつま先を前に出すという回転のトリガーイベントさえ意識すれば,あとは下向き(ちょっと正確な表現ではありませんが)にしっかりと踏むのがよいのではないでしょうか。回すということを意識すると複雑な筋肉の動きが要求され,その弊害も無視できないように思います。

キャファ通信Vol.2034にありましたが,エリートライダーは引き足を使わない,これはペダルを回転させようという余計な意識が無いというふうにも解釈できます。

踏むだけではスムーズなクランクの回転は得られないだろうという意見が趨勢だと思います。しかし,それこそ0°〜180°間でクランク角度で無段階に変化するトルクのかけ具合を習得することで可能だと思います。本人は回転させようという意識はないのに結果として実にスムーズに回転している。それこそがペダリング・スキルと呼ばれるものではないかと思います。

余計な筋肉の動きを動員する複雑な運動よりも,踏むことと力加減にだけ集中する。多分,人間の身体はそういう制御は得意です。そうでなければ長時間運動を続けることはできないでしょう。

私程度の自転車知識では説得力に乏しいかもしれませんが,「回すペダリング」というものを最近眉唾で見ています。

 我が意を得たりの感がある。最近は,自転車というのは踏み込むことでしか進まない乗り物だと考えている。


その2:筋損傷の原因と踏み抜けるペダリングの関係

 ペダルの上死点から下死点に向けて,軟らかい土にスコップが苦もなく入っていくような感覚を「(踏み)抜けるペダリング」と称しているのだが,その辺りの運動生理学というか,筋生理学みたいな話を一席。:-D 最近,MJ 山内氏のトレーニングエッセイを楽しみにしているのだが,ここで面白い記述を見つけた。氏は現在ショートクランクの有効性を医学的な知見から様々に解析されているが,そのなかで,「筋疲労に伴って筋の弛緩時間の延長が生じること,さらに弛緩が十分でないときに,その筋と拮抗する筋が収縮すると,弛緩し切っていない筋には伸張性の負荷が掛かり,それが筋肉組織に損傷を与えたり,筋疲労の原因になる」という(ような)ことを述べていた。

 小難しい表現なので,平たく言えば(間違ってるかも知れないけど),一旦力を入れた筋肉は,脱力してもすぐには伸び切った状態にはならないということである。で,伸び切らない状態で,次の運動に入ると小さなダメージが生じ,それが積み重なると筋肉痛などの原因になるというもの。ゴムヒモなどは,引っ張って,その張力を解放すれば,直ぐに元の状態に戻るけど,筋肉組織ではそうはいかないよ,ということらしい。

 つまり,登りなどで太股の筋肉に感じるきしむような圧痛に近い感覚って言うのは,この弛緩し切っていない筋肉が無理やり,次のペダリング動作によって動かされるときのものらしい。

 じゃ,気持ちよく「(踏み)抜ける」ってのはどういうことか?これには,ペダル上死点で筋肉の弛緩が完全に完了している状態が必要らしい。ペダルを踏み込んでトルクを掛けて,脱力後,上死点まで戻って来たときには,踏み込みに動員された筋肉が「踏み込んだという記憶」を奇麗さっぱり忘れていないといけない。この状態ならば,常にフレッシュな状態で次のペダリング動作が開始されるために,気持ちよく「踏み抜ける」ことになる。わずかに「踏み込んだ記憶」が残っていれば(弛緩し切っていない),その「記憶」を引き摺るような形で次のペダルの踏み込み動作に入ることで,筋損傷や乳酸産生が生じるのだと(適当に)理解した。

 ここからは自分の考察,あるいは空想,妄想に入る。:-D どうも神経系統から筋肉への脱力信号が出てから筋肉が完全に弛緩するまでにはかなりのラグタイム(遅れ時間)があるようだ。出力が大きければ大きいほど,この遅れ時間は大きくなるように思われる。重いギヤを高速に廻せないのは,それが原因だろう。ちなみに,村山利男氏の筋肉を「乳酸の溜まり難い筋肉」と表現するが,これこそ筋の弛緩時間が短い筋肉ということではないのかと思う。また,「柔らかい筋肉」がいいというのも,この筋の弛緩時間が短い,要するに弛緩しやすい筋肉ということではないのか?
 さて,そして,そのラグタイムはトレーニングによってある程度までは短縮出来るのじゃないかというのが,今回の「妄想」だ。そのためのトレーニングが,ある程度のトルクを掛けた状態での高ケイデンス(最低でも 100rpm)トレーニングである。

 高いケイデンスというのは何を意味するのか?速く廻すということは,ペダル下死点から上死点までの脱力後のリカバリーまでの時間が短いことを意味する。したがって,高ケイデンスに慣れてしまった脚は,その脱力から上死点までの短い時間で弛緩することが神経系あるいは循環系でもって(主に神経系が重要な気がするが)達成されているのではないかと推測できる。

 妄想からの結論はこうである。高ケイデンストレーニングによって,筋の弛緩速度が向上した結果,登りでのパフォーマンスが改善される。ローラー台での練習だけで,登りはある程度まで速くなる。#本当だろうか?これからの実験に請うご期待。* ̄∇ ̄*


その3:最近,登りが調子いい(当社比)んだけど

 先日気付いたのは,「あれ?なんか,登りが調子いい!?」でした。別に体重が減ったとかではありません。毎日,よく呑んでよく食ってますから。サンマリーナの玉庭側からの登りも,17km/h くらいで入り,頂上近くまで 15km/h キープ。流石に最後のサンマリーナへの分岐の手前で 13km/h に落ちましたが。なぜだか,踏み込んだペダルが下死点に向かって抜けていく(簡単に突き刺さっていく?)感覚でした。この抜ける感じについては,昔,手塚とも話したことがあり,彼も同じような表現をしてました。簡単に表現すると,ペダルが上死点に返ってきたときには,大腿四頭筋がフレッシュな状態になっているというような感じです。ですから,次もかなりの負荷で踏み込めます。これがズ〜と続く感じ。で,乳酸が溜まらない,..。登りがそれなりに走れたので,所要時間もそれなりのものでした(ベスト5に入るくらい)。この「抜ける」感じは,よほど調子のいいときとかに感じるのですが,じゃ,なぜ昨日は調子が良かったのか?一昨日は最終の新幹線で呑んだくれて帰宅して,さらにアルコール追加して板の間で眠りこけました。調子がいいわけがありません。:-D う〜む,最近続けている高ケイデンスの練習とも関係あるのかも,...。


その4:引き脚の意味

 滑らかなクランクの回転に関する要素の一つ「引き脚」については次のようなことを考えてました。
 高ケイデンスでクランクを廻した場合,勢い踏み込みトルクは大きくなり,その結果ペダルからの反作用としてサドルから腰を浮き上がらせるような力が働くことになる。これが高ケイデンスでうまくペダリング出来ていない場合の「尻跳ね現象」の原因である。それを防ぐにはどうするか?反対側の脚を使って,この踏み込み時の反作用を押さえ込めばいいということになる。これが「引き脚」の正体である。つまり,トラック競技などにおける 120~140rpm 程の高ケイデンスの場合には,踏み込みと反対側の脚でペダルを引き上げる動作を行なわないとサドルに腰が固定できないのである。ロード競技程度のケイデンスの場合(90~100rpm)では,踏み込みと反対側の脚はクランクの回転速度と同じ速度(ペダルには接線方向のトルクはなし)でいいが,トラック競技などでの高ケイデンスの場合にはトルクがかかるほど引き上げないと尻跳ねが起ってしまうのだろう。これが,「引き脚」の本当の姿じゃないのかと,..。


その5:筋疲労

 筋疲労というものも考えてみた。一つには電解質のバランスが狂って,その結果筋の弛緩速度が遅くなるのだろう。これには,血液中の電解質や,筋細胞膜と筋細胞内でのカルシウムやカリウムといったイオンの濃度,あるいは筋細胞壁へのなんらかの物質の吸着なども関係するのではないかと推測している。膜が関与した界面電気現象などが絡むと,疲労回復までの比較的長い時間というのも理解できそうではある。


その6:再び「(踏み)抜けるペダル」の意味

 ロード練習を続けていると時にえらく軽くペダルが踏み込めるときがある。これを「抜けるようなペダリング」と称しているのだが,このときに起っている現象はこれなんじゃないかと思い当たったので,ここに記しておこう。結論から言えば,ペダルを踏み込んだときの最大トルクの掛かるポイントがクランク角度90°よりも小さな状態を実現しているときではないかと思われる。つまり,踏み始めてペダルがクランク角度90°に到達したときには既にトルクの伝達は終了していて,ここからは脱力過程とリカバリーに入っているのじゃないかということだ。「踏み抜けないペダリング」時に感じる,まるで後ろから誰かが引っ張っているような感覚(ヒルクライム時には殊の外よくわかるが)は,クランク角度 90°を過ぎてもいつまでも脱力しないでトルクを掛け続けているときに感じるのではないかと思われるのである。いきおい,下死点から再び上死点に戻るまでの,いわゆる筋肉が完全に弛緩状態になるまでの時間が短いために,筋弛緩が間に合わずに次のペダリング運動に突入するために,次第に乳酸産生により出力低下を招く。

 さて,ではクランク角度90°までにトルクの伝達が終わるためにはどうすればいいのか?これが今回の話しのミソである。そして醤油である(すいません)。問題は,クランク角度0°,つまり上死点での接線方向へのトルクの伝達のための引き金的な動きがどれだけ素早くスムーズに出来るかではないかと考えている。この初動トルクの伝達がスムーズにかつ効率良くなされれば,クランク角度90°に到達する以前にトルクの伝達が終了していることになるのではないかと思っている。そのために重要なのが下死点にあるもう一方のペダルである。もう一方のペダルが下死点から上死点に向かってスムーズに動くときに,上死点にある反対側のペダルには接線方向の初動トルクの引き金になる動きが誘起されるのではないかと思う。この意味ではペダル下死点での最低限の「引き脚(いわゆる,靴底の泥を路面にこすりつけるような動き)」は必要かも知れない。しかし,それはあくまで反対側の上死点にあるペダルに対して踏み込みのためのスムーズな初動トルクを誘起するためだけの動きであり,踏み込みを助けるための意図的なペダルの引上げを意味するものではない。


その7:サドルってトップチューブに対して真っすぐなのが正しいの?

 現在,尻の痛みのためにいろいろなサドルを試しているのですが,ようやくこれならというものに行き当たりました。スペシャのBG Alias です。坐った感じは固いのですが,しばらくすると快適になります。残りは腰痛の問題です。腰痛の問題(左だけが痛む)に関連して,身体の左右のバランスなどが気になってます。スペシャのサドルは坐骨を受け止めるパッド部分があって,そこに坐骨が乗っているのですが,坐骨とサドルの坐り具合が左右で微妙に違うことが気になってました。で,昨日,ぼんやりと考えたことは,サドルってトップチューブに対して真っすぐになっていないとダメなのか?ということ。左右の坐骨の坐りが悪いのならわずかにどちらかに傾けてもいいのではないのか?身体が全く左右対称の人間の方が珍しいのじゃないか?でもなぁ,見た目がなぁ,..なんて考えていたら,同じようなことを考える人がいました。キャファ通信 (vol.2067) です。どんなものでしょうね?ペダルなども左右で Q ファクタが違っているプロ選手などもいるようなので,こういったサドルの向きもありかなと思うのですが,..。

############ サドルの向き ############
■平本雅典 <daiou@marv.mediatti.net>

■ サドルの向き ■ 百哩走大王通信891号より転載

ハンドルやサドルは進行方向に向けて真っ直ぐ取り付けるべし。どの教科書
にもそう書いてあります。でもそれは、本当にそうなのか?

とういのも、行きつけのスポーツクラブに腕の良いスポーツ整体の先生が着
任。さっそく施術してもらう。まずは、初期診断。気をつけして立つ。先生
は、前後左右から体を眺め、定規を当て、体のアンバランスを診ていきま
す。「あなたの体は左側が前に、右側が後にねじれています。」との見立
て。骨盤を中心にねじれているのだそうです。

整体では、体のバランスの崩れを元に戻します。先生が手で体の要所要所を
押し込むようにして、筋肉の固まりをほぐしつつ、骨格が正しい形になるよ
うにしていきます。1時間弱の施術後、再び立ち上がると、気をつけの姿勢
がとりやすい。団子のような固まり感しかなかった体が、骨は骨、筋肉は筋
肉と感じられ、自然な感じです。

で、このことからして、私の体は常にやや右を向いているのかもしれない!
とひらめいた。ならば、その向きにあわせて、一度サドルをほんの少し右に
振ってみたらどうなるか。その方が自然に体が動くかもしれない。そういえ
ば、ハンドルの握り位置も常に左手のほうが前に出ているしなあ。

さあ、実験です。ブルックスの皮サドルの自転車で試します。先端で見て、
ほんの2ミリほど右に振ってみました。では、宮が瀬ダムまで走ってみよう。

すると、あーら不思議。どうしても落ち着かなかった右膝が、今日はやけに
スムーズに動くではありませんか。今まではややがに股気味に膝を外に逃が
していたモノが、真っ直ぐ自然に上下し、引っかかりを感じません。往復
70kmのあいだ、全く問題なく走れました。

これが本物かどうか、もう少し、実験を続けてみたいと思います。整形外科
や整体やスポーツマッサージ、理学療法関係の方、この試みは、皆さまの目
にどのように映りますか? アドバイスやコメント、解説を求む!!


その8:登りでの出力を計算してみよう

 チームメイトと走りながら,「体重落としたら登りが楽になるだろうなぁ」などと話していました。そこでふと思い付いたのが,例えば,10kg 体重を落とすことが出来たら,登りのスピードがどの程度改善されるのか?ということ。そして,それと合わせて,登りでのランスと自分のパワーを比べてみようと思いました。え?ランスのパワーがでかいだろうって?当たり前のことを言ってはいけません。そんなことはリンゴが木から落ちるのと同じくらいに自明なことです。要は,どのくらい数値的に違うのかってことを求めてみようという話です。そこで,改めて彼のすごさ(というか,ツールなどを走るプロロード選手の人間離れした凄さ)を認識しようということです。

まず,面倒な議論を抜きにして(説明が面倒だから。興味のある方は物理の力学の本を紐解いてみてくだされ),登りで絞り出しているパワー(ワット数)は,

(バイク重量(kg) + 体重(kg))× 重力加速度(9.8 m/s2)× 勾配 × 速度(m/s) [ W ]

で表わされます。ただし,空気抵抗と路面抵抗は無視した結果です。平地と比べてスピードが低いので,この仮定はまあまあ妥当だろうと思われます。勾配は分率で表わします(10% なら 0.1,5% なら 0.05 という具合に。厳密には斜面の角度を出して,sin θ の値を入れるべきですが,θが小さい場合には,勾配と sin θはほぼ一緒の値になります)。

 さて,2004 年のツール・ド・フランスの第16ステージはラルプデュエズの登りの個人 TT でした。距離 15.5km で最初の 2km ほどはほぼ平坦(わずかな登り勾配),その後の 13.8km ほどが平均勾配 8% ほどの登りです。ここをランスは 38'01" (だと思った)でクリアしてます。最初の 2km ほどを時速 40km ほどで進んだと仮定すると,本格的な登りを 35' 程度で走ったことになります。平均時速は 23.6km です。#はえ〜・・@o@/// オレがどんなにがんばっても平均時速 10km 程度でしょう。で,これらの数値を上の式に入れてみましょう。ランスの体重は 75kg で,バイクはボトルなどを含めても 7kg 程度でしょう。一方,オレの体重は 80kg(なんじゃ,そりゃ?),バイク重量は 8kg ほど。計算結果は,

ランス:415 W
オレ :189 W

ランスの場合には速度が大きいので,空気抵抗と路面との摩擦抵抗を,計算値の1割程度とすれば,実に 450W の出力を出し続けているわけで,オレの倍以上ということになります。オレの場合は 200W くらいですかね,路面抵抗を考えても。とまあ,プロのトップの出力とはかように凄まじいものだという一例でした。ちなみに,同じ出力を仮定して落とした体重を式に入力すれば,軽くなったときの登りのスピードが出ます。式の形からは,1割の体重減は,1割のスピードアップに繋がるという結果です。時速 10km が時速 11km になります。でも,長い登りではタイム的に大分違いますよね。(2005/11/3)


その9:太股が太くなったよ

 ここ2年ほど,朝の散歩の時に「カーツ」なるものを下半身に装着している。これは如何なるものかといえば,簡単に言えば(複雑に言っても同じだが),太股の付根付近を縛り上げるためのゴムベルトである。「加圧トレーニング」と称するもので,血流を制限した状態で運動を続けることで,成長ホルモンなどの大幅な分泌がなされるというようなものである。詳しいことは,発売元の HP を参照頂くことにして,とにかく,筋力アップ,持久力アップなどが,苦しいトレーニングをしないでも達成できるという,いささか眉唾にも聞えるトレーニング方法である。最近では,K1 の角田氏がこのトレーニング方法を採り入れて現役復帰を果たしたというようなことを TV 番組中で発言されていた。競輪選手やら,その他大勢が密かに使用していると言われている,魔法のトレーニング方法なのである。^^; 

 半信半疑で始めた。一昨年(2003)の11月ごろに購入。それからしばらくはローラー台での練習に使っていた。しかし,効果があるのかないのか判然としない。昨年の6月ごろから朝の散歩時に装着するようにした。その時点での両方の太股の周囲長は 57cm だった。これでも十分太いが,なにしろ体重が重いので,パワーはいくらあっても足りないのである。時々思い立って,太股の周長を測定するが変わらない。もう,半分惰性で続けていたのだが,このページの上の方にあるように,登りでなぜかペダルが踏み抜けるような感じがしていた。登りが少し速くなった。トレーニング後に風呂に入っていて,脚を観るとふと違和感。太くなってないか? 風呂上がりに測ってみると,...60cm あった。@o@///

 う〜む,これをどう解釈するかだが,とりあえずは加圧トレーニングの効果だとしておこう。(2005/11/3)


 その10:スノーシューと自転車との関係

 東北地方,特に日本海側,更に限定すれば米沢は,11月末から4月ごろまで屋外での自転車走行はできない。特に,今年は史上最悪(?)の豪雪になっており,この乗り込めない期間はますます長くなりそうな感じである。これはまずい。ただでさえヨワッチイのがますます使い物にならない状態になってしまう。なんとかせねばならない。やっぱり,ローラー台だけでは寂し過ぎる。

 数年前から冬場の楽しみとトレーニングを兼ねてスノーシューを付けての雪の山歩きをするようになった。晴れた日のナデラ山頂からの眺望は素晴らしく,5時間ほども有酸素運動もでき,なかなかいい冬場のトレーニング(気分転換?)にはなっている。が,天気のいい日を選んで出かけるために,ワンシーズンで10日も出かければいい方で,これを「トレーニング」と位置付けるには少々面映ゆいものがある。やはり,どちらかといえば,「気晴らし」である。折角買ったスノーシューであるから,もう少し積極的にトレーニングギヤとして活用せねば,消えていった数枚の福沢諭吉ドンに全く以て相済まぬ。そこで考えたのが(というほど大したことではないが),朝のワン公の散歩と兼用の Walking Training である。

 閑話休題:ワン公との朝の散歩が日課になって,早起きにはなったものの,朝練というものとは全く疎遠に成り果てた。ワン公と過ごした朝の時間を全て朝練に充てていたらば,今ごろはウルトラスリムな体型になり,ウルトラスーパーなロードレーサー乗りになっているであろうことは,リンゴが木から落ちるくらいに明々白々である。:-D 

 ここで,スノーシューを付けて深雪の中を歩いた場合に筋肉群に掛かる負荷についてざっと見ておこう。基本的には田んぼの泥の中を歩いているときに掛かる負荷と同じである。#スノーシューを知らない方は,この辺りのページを参考にしてくだされ。まず,シューが雪に潜り込んでいくときに掛かる負荷がある。これはなぜ負荷たるのか,未だに厳密な説明ができないでいるのだが,要は,次のようなことかも知れない。固い路面を歩いている場合には,路面で足裏が完全にストップし,その反作用でもう一方の脚の蹴り出し(振り出し?)がスムーズにいっているように思われる。が,雪の場合にはそれがないからかも知れない。しかも,ズブズブと潜り込む過程での姿勢を保持するために他の筋肉群が動員されるということもあると思う。さらに,これが一番大変なのだが,雪に埋まった脚を引き抜き前方に送りだすという動作である。こうして,一般道を普通に歩行する場合に比較して恐らくは 200~300%といった大きな負荷が掛ることになる。#この数値は適当である。:-D

 スノーシューで雪道を歩いたときの筋肉負荷に関してだが,感覚的には自転車で使う筋肉とかなり似通っているように思う。雪に潜ったシューを引き上げるには引き脚(これについてはいろいろ説があるが,いずれにしろクランクと最低限同じスピードでは上死点にまで動かす必要があるから,「引いている」のは確かである)と同等の筋肉が動員されるだろうし,雪に脚が潜り込んでいく場合には,クランクを踏み込む際に動員されるのと同じ筋肉群が使われているように思う。

 さらに,もう一点である。少し話がずれるが,自転車選手がオフに行う陸上トレーニングとして,ランニングとウォーキング,どちらが適しているだろうか? 私は後者が適しているのではないかと考えている。着地の衝撃などの問題もあろうが,なにより動員される筋肉群が自転車に近いのがウォーキングの方ではないのかとの印象を持っている。走る動作と歩く動作を比べた場合,歩くときの筋肉群の方がペダリング時に動員される筋肉群との共通点が多いように感じている(ローラーにガンガン乗ると,歩くスピードは次第に上がる)。でも,ただ単に歩くだけでは,負荷が足りない。ではどうするか,一歩毎の負荷が各段に大きくなるような歩き方をするか,歩く環境を作ればよいことになる。

 以上の考察より導かれる結論は,スノーシューを付けての雪上の全力歩行は自転車のオフトレにとしてかなり良質なトレーニング足り得るということである。そんなわけで,ここ数日,吹雪の中でもセッセと Snow Walking に励んでいる。今度から,これに加圧トレを組み合わせてみようかと思っている。目指せ!太股周囲 65cm !!(って,もう人間離れしてるんじゃないですか?)(2006/1/14)


その11:あれ?常用スピードが上がった?!

 今年も米沢ー男鹿 300km ファストランイベントに参加して,目出度く完走した。今年はいつもよりも早い時期に開催され,そのせいで 300km を走る続けるだけの脚が出来るかどうかが一番の不安材料だった。そのために20日ほどの間に約 1000km の走り込みを行った。その結果,まあ,無事に完走できた。

 さて,その走行中のことであるが,平地で若干の向かい風,先頭を引いている,走った距離は既に 140km ほどという状況下でサイクルメータを見れば時速 32km ほど。心拍は 140 bpm 程度。体感的にえらく楽なのである。おかしい。今までなら同じような状況での心拍は 160bpm オーバーで,それなりの苦しさを感じながらの走行になるはずだ。ず〜っと引き続けていたが,35km/h ほどで巡航しても,それほど苦しいとは思わない。結局 30~35km/h ほどのペースで一人で 100km ほどを引き続けた。

 これには自分自身が驚いた。いろいろと考えて思いついたのは昨年辺りからの太股周囲 + 3cm(57cm → 60cm)の効果だ。登りでも,当社比ながら僅かに踏み抜けるような感触がアップしている(もちろん,体重が災いしてスピードは遅い)。どうも,今回の平地巡航で感じた脚応え(なんて言葉があるのかどうか)は,筋出力が向上した結果と考えた方が自然なようだ。

 要するに,こういうことではないか。例えば,今までは 32km/h ほどを維持するためには,クランク角度が 90°を越えてもなおしばらくは筋出力の継続を余儀なくされていて,その結果クランク上死点に至っても筋肉が初期化(弛緩状態)されていなかったために乳酸蓄積などが起り,心拍数の上昇に繋がっていたものと推測できる。それが太股が太くなり筋出力が向上した結果,同じスピードを維持するために要するトルク(出力?)の伝達時間が短縮され,したがって,同じケイデンスなら,クランク一回転の間に筋弛緩のための十分な時間が確保できるようになったため,心拍数の上昇も抑えられたのではないかと考えた。そして,このことは同じ心拍数条件下における走行スピードのアップを意味する。つまり,常用スピードの向上である。

 理屈としては合っているように思う。この考えを進めていけば,ジムでの筋トレにより太股の筋力アップを図ることで常用スピードのアップが可能になることを意味する。もちろん,筋肉量の増大は重量増加も意味するために,いろいろな相殺因子があり,話はそう単純ではなかろう。しかし,上の考えが正しければ,筋収縮のスピードを殺さない範囲での筋繊維の肥大化は自転車選手にとって試してみる価値のあることではないかと考えるのである。(2006/5/11)